『甦れ!中小企業魂』(フジサンケイビジネスアイの連載コラム) 8号

増山としかず事務所からのお知らせです。

日刊総合経済紙「フジサンケイビジネスアイ」の連載コラム、増山としかず の『甦れ!中小企業魂』の第8号の紹介です。
フジサンケイビジネスアイ様のご協力で当ホームページでも紹介いたします。

毎週水曜日に掲載されています。
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『甦れ!中小企業魂』第8号 (2017/07/26)
ワインづくり、チーズづくりを支えている金融

今回は小規模事業者やスタートアップ事業者がその事業を拡大していくための金融の役割について考えてみましょう。

約10年前、政府代表として日本とスイス、そして将来的には是非ともEUと自由貿易協定を結びたいと考え欧州を何度も訪問し、中でも山奥の村や豊かな農村地域へ行きました。

彼らが日本に輸出したがっているのは、チーズやワインそして生ハムといった高級食材であり、実際にその生産者を訪ねて、どのように生産し、高付加価値なものに仕立て上げていくのかをこの目で確かめたかったからです。

そこで私は、小さな村の産品が世界市場に高級食材として提供される背後には、儲かる仕組みが脈々と繋がり広がっているのだと実感し、その際には金融の役割が極めて大きいことを知りました。

例えば、ワイナリーの経営です。

気候の影響で出来不出来が大きく分かれ、また新しいワイナリーでは、生産をし長期保存をして価値を上げても高い値段で売れるかどうかの自信もありません。そうすると、資金的に回らなくなり、折角いいワインが出来ても長期間寝かせて高い値段で売るところまで耐えることが出来ず、途中安値で売ってしまい、いつまでたっても高級ワインのブランドが確立出来ず、やがて不作に見舞われて事業が立ち行かなくなるのがこの世界の常です。

そこでイタリアやフランスの銀行では、蔵に眠っているワインのボトルを担保に、いや銀行によっては、ブドウの木や苗木にまで担保をかけて融資をしてその事業を支えています。

このようなことは、チーズや生ハムの産地でも同様になされています。

特にびっくりしたのは、あるスイスの山奥の村でのことです。
乳酸菌を使った固めのエメンタールチーズで有名なこの村の倉庫には、大きな円形のチーズが整然と天井まで保存されていました。その一つ一つに生産年月日、生産者、そしてなんと担保を取り融資を実行した銀行の名前が刻印されていたのです。金融の力で村の産業をなんとかして支えたいという熱意が伝わってきました。

現在日本の地方金融は、その貸出先が先細り、収益率も大きく下がり、大きな試練の時期を迎えています。国債での運用も、金利低下と急激な経済環境の変化のリスクで、もう限界を超えています。そんな中、中小企業への融資の在り方も、土地や不動産の担保だけではなく、経営の結果に生み出される信用、のれん、そういったものを担保として事業に融資する仕組みの変化がますます求められています。

担当者がワインやチーズの貯蔵庫に実際に出向いて出来具合を毎回確認するように、もう少し大胆に現場を見て回るようになれればこの改革は本物になると確信します。
時々試食試飲しながら!