犬と猫とコロナ
2020年9月1日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.127
増 山 と し か ず メ ー ル マ ガ ジ ン
日本をもっと強くしなやかにしたい！
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■ 犬と猫とコロナ ■
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我が家には、同じ年の犬と猫がいた。
数年前に犬が虹の橋を渡り、今は猫だけだ。
かつて二匹が仲良くしていた時の話である。
日向で仲良く昼寝をしているとき、私が掃除機を持ち出したとたんに野性の勘が戻るのか、犬はすくっと立ち上がり大声でほえ始め、猫は一目散にたんすの奥に逃げこむのが常であった。
私がこの話をするのは、決して我が家のペット話をこの先続けるためではない。
自らにとって危険なこと、非日常なこと、厄介なことが起きたとき、どう対処するかについて、二種類のパターンがあることを話したいが故である。
一つ目のパターンは、「ほえる」。
問題点を見つけ、大きな声で周囲に知らせて、自分の不安を少しでもやわらげようとする行動パターンだ。
二つ目は「逃げる」。
ほとぼりが冷めるまで身を隠して、じっと災難が過ぎ去るのを待つ。
現在の新型コロナウィルスへの対応についても、この二つのパターンが応用できる。
マスコミなどを含めて、必要以上に事態の深刻さを喧伝するのはいいが、いつの間にか何にほえていたのかも忘れて、単にほえ続けていることになってはいないか。
あるいは、新型コロナウィルスの騒動から、さっと身を隠して一切表に出てこない。
この騒動にどう向き合うかを考えることもなくじっとしているだけ、という対応のケースも多く見られる。
この話は新型コロナウィルスだけではなく、企業経営においても、急に厄介なこと、不都合なことが起きたときに、往々にしてとるべき行動はこの二類型となるのではないか。
しかし、この二類型だけでは物事は解決しない。さてどうしたものか。
我が家の犬と猫はというと、齢を重ねていくにつれて、掃除機の音に“慣れて”きたのである。
そう、動物や人間は“慣れて”いくことができるのだ。
犬と猫でもできるのであれば、人間にできないはずはない。
新型コロナウィルスも、突如やってくる困難な事態も、人間は「慣れることで乗り越える」ことができるはずである。
正しくほえて、正しく逃げて、そして慣れることこそが、今、求められている。
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