米国トイザらス
増山としかず事務所からのお知らせです。
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『甦れ!中小企業魂』第17号 (2017/09/27)
米国トイザらス
つい先日、米国トイザらスの経営破綻の報道が世界を駆け巡りました。
私は感無量になりました。1990年代初頭、いまから約30年前のことです。
日米貿易摩擦が過熱化し、米国は日本の黒字の原因は、その不透明な商慣習にあると決め付け、その代表的な例として、ケイレツ(系列)とダイテンホウ(大店法)として名指しでその改善廃止を求めてきたのです。
系列や大規模小売店舗法(略称大店法)は、米国のビジネススクールの教科書に載るほどの扱いでした。
系列と大店法の弊害をひときわ声大きく訴えたのが、前者が米国トイザらスであり、後者がコダックでした。それまで、おもちゃといえば、百貨店か町のおもちゃ屋さんで買うのが当たり前の日本でした。
こどものなりたい職業には必ず上位に「おもちゃ屋さん」がランクインするそんな時代でした。日本政府は懸命に、大店法があるから必ずしも一切の大型店が開設できないという訳ではなく、あくまでもこの法律は地元の商店街などとの調整を目的として、主に開店・閉店時間や店舗面積、休業日数だけを審査する仕組みの法律で、米国が誤解しているような何でも規制するようなものではないことなども何度も訴えたのです。
私も当時、通産省でこの案件に携わるメンバーの一員でした。
しかし当時の米国は、一切聞く耳を持たず、日本政府は大店法の改正をし、大幅な規制緩和を行いました。
結果、1995年以降日本で大型店の出店が一気に加速化しました。
当時のマスコミはこれを消費者にメリットがあると喧伝し、国民の大多数もその効果を信じて疑いませんでした。米国政府およびトイザらスは、ただこの大幅な規制緩和だけでは満足せず、大店法自体が自由貿易ルールに反するとして規制の完全撤廃を要求し、今度はコダックがフイルムに関する提訴の中で、日本側は勝訴に終わったものの、その過程において大店法がWTO(世界貿易機関)違反の灰色的指摘を受けたことから、最終的には1998年には、廃止されることとなったのです。
トイザらスとコダックが、日本の制度を攻撃しているうちにいつの間にか衰退したということが、感無量なのです。
ただ大店法廃止から約20年、大型店舗は全国各地に及びました。反比例的に商店街は廃れる一方です。
しかし、インターネットを活用した大型店舗アマゾンなどの新興勢力の台頭で、大型流通業というビジネスモデル自体がいま曲がり角にきているのです。アマゾンのようなバーチャルな流通業態が、今後一気に力を増していくことになるのでしょうか。
しかし、気に入った商品は実際に手に取って見て買いたいという要望が逆に強まるのも事実です。
そういう中、規模は小さいが品揃えがしっかりして、商品情報も豊かで、何よりも便利な場所にある商店街の役割がまた大きく見直されることでしょう。そうです。いまから商店街の反撃が始まる予感がします。