シラク大統領との思いで

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2019年10月17日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.104

増 山 と し か ず メ ー ル マ ガ ジ ン

日本をもっと強くしなやかにしたい!

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先月の台風15号被害に続き、今月も大規模な台風に見舞われました。
復興がままならない中、被害に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

朝夕はかなり冷え込むようになってきましたので、
どうぞお身体を大切になさってください。

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■ シラク大統領との思い出 ■
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私は、長く欧州の、特にフランスと付き合ってきた。
最初は1990年から2年間の留学。
そして、2003年から2006年にかけては、パリの日本大使館にて勤務した。

シラク大統領は、私にとって、欧州フランスのしたたかさ、知性の象徴であり、
私の人生の師でもあった。
その彼が9月26日亡くなった。
改めて心から哀悼したい。

 

なぜ彼は偉大なのか。

 

彼は、フランスの超エリート校であるENA(国立行政学院)卒業という経歴と異なり、1950年代にはフランス共産党の活動員でもあり、1956年にはアルジェリア戦争にも従軍した。
若いときからまさに多様な経験をしてきた、そんじょそこらの青臭い知的エリートではないのである。

彼は、ジスカール・デスタン大統領の下で1974年から2年間首相を務め、右派勢力の中心人物となっていく。その後、右派代表として1981年、1988年と二度にわたり大統領選挙にでるが、当時左派代表のミッテラン大統領に敗れた。

しかし、やがてミッテラン政権が行き詰まると、1986年ふたたび首相に返り咲いた。
左派の大統領と、右派の首相という、いわゆる共存(コアビタシオン)を成し遂げたのである。
何度も闘い、天敵ミッテランとも祖国繁栄のために手を結ぶ度量が、欧州の統合を強固なものとしていったのだ。

 

私がさらに驚嘆するのは、国会議員であり、閣僚、首相でありながら、一貫して1977年から1995年までパリ市の市長であり続けたことだ。

 

「たゆたえども沈まず」というパリ市の標語を彼はよく口ずさみ、パリを船に見立てて、動乱の中でもそれを乗り越えていく帆船がまさしくパリである。と言い聞かせて自らをも鼓舞していたのであろう。

 

旺盛な行動力をとる彼のニックネームは「ブルドーザー」。

 

日本の田中角栄首相が「コンピューター付きブルドーザー」と言われていたことから、その両者の共通点と相違が改めて思い起こされる。

 

そして、若き日の彼は、授業を毎日さぼってパリの「ギメ東洋美術館」に通い、東洋美術、芸術の虜になったという。
特に日本の歴史、文化、芸術には深い造詣があり、彼に及ぶ人は日本の政治家にもいないのではというのがもっぱらの評判であった。

なかでも相撲には強い関心を示し、後に大統領になった際は、東京のフランス大使館が毎日の取組結果をパリの大統領に報告することが大きなミッションであったことは事実である。

 

1995年にようやく彼は大統領になる。
そして2007年の引退まで、偉大なフランスの復活、偉大な欧州の復活のために多くの業績を残した。

 

日本と米国とで巻き起こった1990年代の貿易戦争では、アメリカが国際ルールを無視して日本に輸出制限を求め、日本が抵抗するその構図にいつも背後で国際ルール尊重の声を上げ日本を応援してくれたのが実はシラク大統領であったこと思い出す

 

私がパリの日本大使館で働いていた時、大統領府と日本大使公邸はまさにお隣。
大使公邸の日本食は欧州随一ともいわれるほど素晴らしい日本食とワインがあることから、お忍びでたびたび訪れて、大使とともに食事をとりながら談笑したことが懐かしい。

私は日本に帰国した際、彼の大好物という鹿児島の森伊蔵焼酎を手に入れて、大統領に密かにプレセントした。その時に見せた彼の笑顔が今でも忘れられない。

 

オリンピック、ラクビー、万博も一貫して日本招致を応援支持してくれたシラク大統領に心から感謝したい。

 

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